ndjc2025 合評上映会を、3月24日(火)に開催!舞台挨拶を行いました。
実施概要
【劇場】東劇
【日時】2026年3月24日(火)
【上映順】
『36万リットルのオーバーフロー』 監督:辻󠄀井 俊
『繰り返す女』 監督:中田江玲
『うねうねとまっすぐ』 監督:八代夏歌
『巡り巡る果て』 監督:鴨林諄宜
【登壇者】
<辻󠄀井組>辻󠄀井 俊、辻 陸
<中田組>中田江玲、伊藤 歩
<八代組>八代夏歌、大和奈央、小方蒼介
<鴨林組>鴨林諄宜、平埜生成
田村順也(文化庁 参事官 芸術文化担当付 芸術文化調査官)
安藤親広(ndjc2025スーパーバイザー)
松谷孝征(特定非営利活動法人映像産業振興機構VIPO理事長)
司会:伊藤さとり
*全て、敬称略
▶︎ 辻󠄀井 俊監督 『36万リットルのオーバーフロー』上映・舞台挨拶
本作の着想について、辻󠄀井監督は自身がアルバイトをしていた経験がきっかけだったと明かす。「プールで何か撮れないかなと考えていたタイミングでndjcの募集があり、プールを舞台にした物語を描いてみたいと思った」と振り返った。
また監視員でありながら泳ぎが苦手な主人公・福呂のキャラクターについては、「アルバイト中に、水ですべって転び、大量に血が出たことがあって。ひとりで何をやっているんだろう…という誰かに言うほどでもない感情から、福呂というキャラクターをつくりあげた」と語った。
一方、主演の辻陸は撮影直前に脚本から大幅にセリフが削られ当初は戸惑いもあったという。しかし辻󠄀井監督から「福呂は水平線に停滞している船のような存在。周りのキャラクターが強い波を起こすので、それに身を任せればよい」とアドバイスを受けたとのことで、「それまでキャパオーバーだったが、その演出が役に立った」と感謝の思いを述べる場面も見られた。
▶︎ 中田江玲監督 『繰り返す女』上映・舞台挨拶
近年のトレンドである「シスターフッド」からはあえて逆行し、「連帯できない二人の女性」を描くことから出発したという中田監督。「協調性を持たない人物同士だからこそ、自分の欲望や情熱をそのまま相手にぶつけていく。その滑稽さや、愛らしさを描きたかった」と制作意図を明かした。
脚本については「ト書きをたくさん書く」ことを意識していたといい「青山真治監督の『ユリイカ』を読んだ際、『ト書きって、こんな小説みたいに書いていいんだ』と気づいたことで自分の書き方も変わった。セリフが少ない分、情報を補うためにト書きを重視して書こうと決めた」と明かす。
一方、劇中でセリフがほとんどない難役に挑んだ伊藤歩は、中田監督の演出について「表情で説明しすぎないよう細かくチューニングしてもらった。最初は自分の芝居がダメなのかと傷ついたりもしたが、完成した映像を見てその意図を理解できた」と振り返り、「才能のある監督なので全て委ねることができた」と信頼を寄せた。
▶︎ 八代夏歌監督 『うねうねとまっすぐ』上映・舞台挨拶
発想のきっかけについて八代監督は、「恋愛関係ではないけれど、2人だけが通じ合い、潜在的に惹かれ合っていく関係性を描きたいと考えたことから着想した」と解説。
登場人物の造形については自分の体験が反映されており、「タイ行きの飛行機の中で、自分のうねった髪に視線を感じたことがあった。そのとき、こういう髪をした主人公の映画があったら面白いのではないかと思ったことが、キャラクターの着想につながっている」と振り返る。さらにタイトルには、「うねうねとした複雑な思いを抱える少女が“素直”という名の少年と出会うことで、最終的にまっすぐ前に進めるようになる」という意味が込められていると明かした。
また、キャスト陣も八代監督の人物像に言及。大和奈央は「アイデアが豊富で、年齢が1つしか変わらないとは思えないほど指示が的確だった」と語り、小方蒼介も「大人びた一面と無邪気な一面のギャップが魅力的だった」と評するなど、現場での信頼関係の強さがうかがえた。
▶︎ 鴨林諄宜監督『巡り巡る果て』上映・舞台挨拶
これまで鴨林監督が自主映画制作において抱いてきた「現実に起きる事件や事故に映画はかなわないのではないか。映画は偽物なのではないか」という思いを出発点として生まれたという本作。その葛藤を踏まえ、物語の中に“本物”と“偽物”を組み込む試みがなされている。
劇中では、登場人物の背景情報をあえて削ぎ落とし、観客の想像力に委ねる演出を徹底。また、平埜生成をはじめとする俳優陣には、「悲しみを悲しそうに演じないこと」「説明的な演技から距離を置き、わかりやすさから離れた演技をすること」といった演出が与えられたという。こうした抑制された表現により、観客自身の想像力を刺激する作品となっている。
一方、主演を務めた平埜は、現場での監督の印象について、「動かない鳥」として知られるハシビロコウのようだったと語る。「たたずまいが巨匠のようで、静かに現場を見守り、一切の迷いがない」と称賛した。また同時に、「監督は驚くほど柔軟で、自身の考えに固執することなくキャストやスタッフの意見を積極的に取り入れ、演出を変化させていく姿勢に感銘を受けた」と明かした。
4作品の上映終了後、ndjc2025でスーパーバイザーを務める安藤親広は、ndjcが20周年を迎えたことに触れながら、「長い年月の中でトライ・アンド・エラーを重ね、本プロジェクトは着実に熟成されてきたのだと感じた。非常に素晴らしく、贅沢な育成システムだと思う。今回の4名の監督たちは、本作を名刺代わりに今後映画業界と向き合っていくことになる。私たちもここで終わりにするのではなく、このご縁を大切にしながら引き続き彼らを支えていきたい。本プロジェクトが今後も長く続いていくことを心より願っている」とメッセージを送った。
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